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エリアフ・インバル@渋谷タワーレコード

2009年3月29日(日)18:00
マーラー:交響曲第8番のCD発売記念
インストア・イベント&サイン会
エリアフ・インバル
聞き手 山之内正
渋谷タワーレコード


14時からサントリーホールでインバル;都響のラフマニノフ(ピアノ 田村響)とチャイコフスキー5をきいたあと、場所を変えてのイベント。昨年4月にきいた都響のプログラムがCDになって、その記念。

笑顔がチャーミングな人。ステージでは表情までわからないから、今日はイベントスペースの最前列で謦咳に接することができてよかった。

インバルの口からも目下の経済状勢についてのコメントが出て、少し驚いた。「マーラーの音楽の中を探せば答えが見つかる」というあたりに、アーティストとして取りうる精一杯のポジティブな姿勢をみることができると思う。

(以下、ドイツ語の通訳を聞き書きしたもので、文章にはあえて磨きをかけていない。数字や引用の裏を取ることもしていない。)



山之内)都響を指揮してマーラーの第8番を演奏したのは、もう1年近く前になるのですね。マーラーの8番を指揮するというのはどういうものですか。

インバル)それは普通(ノーマル)ではない体験ですね。この曲にはまず、たくさんのアーティストが必要です。500~600人というたくさんの人が関わる。マーラーが指揮していた頃は、子どもの合唱だけで270人いたそうです。今は、合唱で180名、子どもが80名、その他にソロ。実際に私が演奏した時は550名。千人の交響曲と言いながら、千人ではなくて申し訳ないです(笑)。

マーラーは、これまでに存在した作曲家の中で、最も偉大な人のひとりです。今日、私はチャイコフスキーの曲を演奏しました。チャイコフスキーも偉大な作曲家で、苦悩、愛、悲嘆を音楽で描きました。これはマーラーの音楽にも似ています。しかし、チャイコフスキーの音楽は、愛にせよ希望にせよ悩みにせよ、彼個人のものでした。

マーラーは違います。人間すべて。コスモスを感じさせるものです。マーラーの苦悩は、人間すべての苦悩です。不安は、全人類の不安なのです。マーラーの音楽で愛を感じる。それは、100乗の愛です。

マーラーの音楽にはよく自然が出てきます。しかし、たとえば小川(Bach)はそこを流れる特定の小川というものではなく、人間界における自然を表しているのです。

マーラー自身、交響曲第8番について言いました。宇宙や星が鳴りはじめると。彼の尺度は、宇宙に至るのです。

山之内)来年、第8番が初演されて100年になります。マーラーの描いた理想、世界観は今も生きているのでしょうか。

インバル)はい。マーラーの音楽はモダンです。現代でも生きています。彼は現代の作曲家の中でも最もすばらしい人です。マーラーの不安、希望、宗教的な観念、愛……は、現代の私たちにも通じます。若い人たちにも通じると思います。今の経済の状況下で、何かを探そうとする人にとって答えが見つかるはずです。

20~30年前、マーラーは流行の音楽と言われました。でも、実際にはそうではなかった。マーラーは、今でも世界が必要とする音楽家なのです。ある人が言いました。「マーラーは、数年後に戻ってくる神である」と。

山之内)マエストロにとって、マーラーの第8番とはどんなものなのですか。

インバル)8番は、その他と比べて唯一、「そこにある」ものですね。他の交響曲にはない。第1部は宇宙観。第2部は哲学的。これは、ゲーテの詩も影響していると思います。そして、最後。本当に信じられないフィナーレです。すばらしい。ここは救済を描いています。ここを演奏すると、もう何も語ることがなくなります。

同意していただけるかわかりませんが、作曲家には2つのタイプがあると思う。ひとつは、アブストラクトで客観的な人。ブルックナー、ベートーヴェン、モーツァルト、ハイドンなどがそうです。それに対し、自分の人生を書く作曲家。ロマン派と呼ばれる人ではベルリオーズが最初だったと思います。そのあと、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチがそうです。ストラヴィンスキーは客観的な人ですね。

客観的だからといっても、作曲家は悩みを感じ取っていないわけではない。それを一段上の哲学的なレベルまで高めている。マーラーは、主観を大切にした人でした。だけれども、尺度、規模、宇宙的な広がりにおいて、個人の悩みを通り越して客観性を獲得しているのだと思います。8番はアブストラクトな交響曲。9番になると、またパーソナルに戻るのですがね。

今、第8番の初演から来年で100年になることを思い出させていただきました。来年やればよかったですね。記念の年が来るまで、また50年待たないといけませんね(笑)。

山之内)オーケストラ、都響についてうかがいます。都響とはどういう音楽を作っていきたいか。どんなサウンドを期待しているか。

インバル)昨年プリンシパルコンダクターに就任して、ブルックナーとマーラーをやりました。ベルリオーズやショスタコーヴィチもやりました。今回、ラヴェルの音楽を取り上げて、オーケストラがフランスの音楽をやれるように厳しくリハーサルをしました。ですからメンバーのみなさんは怒っていらっしゃるかもしれませんが、結果的にすばらしいものが出てきました。今回はベートーヴェンもやりますし、ラヴェル(フランスの音楽ですね)、チャイコフスキーとラフマニノフといったスラブの音楽も取り上げます。いろんな音楽をやっていきたいですね。

他のオーケストラでもそうなんですが、私が行くと、オーケストラが私の音に変わってくれるんです。私の思いを感じてくれるのでしょうか。都響とは8年のブランクがありましたから、それは簡単なことではないと思いますが。フレージングとか全体の響きとか、特にこのところはすばらしくなったと思います。弦楽器も、管楽器も。

山之内)インバルさんと言えば、フランクフルト放送響との全集があって、私たちが愛した録音なのですが、インバルさんがやる今のマーラーをききたいと思います。今回の第8番をリリースしたExtonとの共同作業で期待することがありましたら。

インバル)またこれからもマーラーをはじめ、その他の作品を録音していくつもりです。音楽は時代の精神(Geisterzeit)をあらわしているのです。今日の精神をあらわす音楽があるはずです。

私の音楽のやり方は、きちっと計画するより、その瞬間瞬間を大切にするのです。録音もそのたびに演奏が変わります。今後ももっとよくなっていけるようにしたいと思いますし、もちろんホールでの演奏ももっとやりたい。オーケストラのみなさんも、そのたびごとに違います。経済の影響も当然受けていますし、天気の影響だって受けます。音楽は生きているものなのです。

山之内)マエストロが都響のプリンシパルコンダクターに就任されたことで、東京はマーラーが演奏されることにかけて世界でも有数の街になったのではないかと思います。どうもありがとうございました。

2009/03/29(Sun)
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