
都内でコーポラティブハウスを建てたというカップル(仮にAさんと呼ぶ)と知り合って、話をうかがう機会があった。良かったことも残念だったことも、すべて実体験に基づいているため、とても面白く、自分の家作りにもたいへん参考になった。
Aさんたちは、住むのはずっと賃貸でもいいかなと考えていたそうだが、家でする仕事の性質上、一般的なマンションの設備・仕様では物足りない点があった。そこへ偶然雑誌でコーポラティブハウスのことを知り、興味をひかれたのだという。
お二人とも自営業(になるのかな?)のため、住宅ローンを組めるかどうかが第一の関門だった。事前審査を依頼すると、住宅金融公庫利用でOKが出た。さらに入居時(コーポラティブだから“参加時”か)の高倍率の抽選に勝ち、駐車場の抽選にも勝った。仕事上必要な設備も希望通りになった。先日は仲のいい隣人宅のルーフテラスで流しそうめん。そんな近所付き合いが生まれやすいのもコーポラティブハウスならではだろうし、何よりご自分たちのワークスタイル/ライフスタイルに合う家を手に入れられ、羨ましいかぎりである。
ただ、「揉めたというわけではないのですが、ちょっと残念だったこともありまして」と奥様。そのコーポラティブハウスは10世帯以上が入居する比較的規模の大きなもので、1人の建築家が全体を監修し、内装の設計はその他4人の建築家が数戸ずつ分担したという。関わる人が多すぎて、連絡やコミュニケーションが取りづらかったりと、何か進行上の問題があったのだろうか。
「いえ、そうではなくて、内装の設計をどなたにお願いするかまで選ぶことができず、結果的にうちの担当になったのは、初めて1人で設計をするような若い建築家の方だったんです。施工会社と交渉していても、経験不足を見透かされている様子がありありで、自分たちで作ったプランを通すことができなかった」
たとえばメゾネットの階段。Aさんたちは支柱などがない、階段面が壁から生えてくる仕様にしたかったそうだが、施工会社から強度不足を指摘され、押し切られるかたちでノーマルな階段に。
「家が完成して、他のお宅も見せてもらったんですけど、私たちが希望した仕様で階段を作っているところもあるんですよ。強度が足りないと言われても、それを実現する代案を出せればよかったのでしょうね。経験のある方が担当されたお家の内装は、やっぱり風格があるんですよね。うちは何というか、普通になっちゃいました(笑)」
いくらコーポラティブハウスで自由度が高いといっても、希望を実現できるかどうかは(予算も含めた)ギリギリの交渉になる。設計の良し悪しに加えて、交渉力が仕上がりの満足度を左右するという、Aさんのケースはその実例かもしれない。
しかし、100%満足のいく家などはありえず、どこかしら「たられば」は残るのだろうな。どこにこだわり、どこを諦めるか、その順番はきちんとつけておかないと。
Aさん、くだんの流しそうめんパーティでは、竹を買ってきて設備を自作なさったという。さすがです。貴重なお話をありがとうございました。今度はお宅にお邪魔させてください。
2005/10/21(Fri)
コーポラティブハウス |
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